2020-01-11

がんの発見は一滴に尿や血液からわかる時代に

2020年1月11日の日経新聞の記事より引用

企業が尿や血液などの体液から、がんを早期発見する検査サービスに相次ぎ乗り出す。九州大学発のスタートアップが1月、尿を使って15種類のがんを探るサービスを始めた。東芝東レは2021年以降に血液での実用化を急ぐ。体液検査は世界で開発が進んでおり、日本勢は精度の高さが強み。料金は現在の画像診断と同程度かそれよりも割安なケースが多い。がんの早期発見の手段がより身近になりそうだ。

九大発スタートアップで医療サービスを手掛けるHIROTSUバイオサイエンス(ヒロツバイオ、東京・港)。6日から尿を使った解析サービスを始めた。胃や大腸など15種類のがんに罹患(りかん)している場合、「いずれかのがんにかかっている」と判定する。検査人数に対して正しく判定できる精度は85%としている。

尿を活用して幅広い種類のがんを調べるサービスは世界初という。がんを見つけるのは体長1ミリメートルの線虫で、尿に含まれるがんの匂いに集まる性質を応用する。同社の検査を受けられる病院を1月中に発表する予定だ。一般の人が支払う検査料金は1回当たり約1万円となる見込み。

名古屋大学発スタートアップのイカリア(東京・文京)は、肺がんなどの種類を特定するサービスを始める。複数の種類のがんを対象とし、どれにかかっているかを突き止める。精度は90%を超えるといい、「年内に一般の人が利用できるようにする」(同社)。

がんの発見に使うのは体液に含まれ、遺伝子の発現を調節する機能を持つ物質である「マイクロRNA(リボ核酸)」。これを解析するチップなどでがんの種類を見分ける。料金は数年以内に3万円以下に下げる考え。

ヒロツバイオは四国がんセンター(愛媛県松山市)などの医療機関と協力し、がん患者計1000人以上を対象に検査精度を高めてきた。イカリアは数百人規模で検証済みで、今後1万人程度まで増やすという。

これまでのがん検査は体調に異変が生じてからというケースが多かった。症状が無くても体液を使って簡単に検査できるようになれば、早期発見や生存率の向上につながる。米調査会社のグランドビューリサーチは、体液検査の市場が30年に60億ドル(約6500億円)規模になると予測する。

料金の低下も期待できそうだ。現在のがん検査では罹患しているかどうかを調べる場合は保険がきかず、10万円を超える事例もある。体液検査の料金は数万円台が多い。

血液による検査も今後始まる。東芝のサービスは乳がんなど13種類のがんのどれかにかかっていれば、がんに罹患していること自体を99%の精度で判定可能という。21~22年に人間ドックなどで実用化し、費用は2万円以下に抑える計画だ。

体液を使った検査の取り組みはもともと欧米企業が先行。がん細胞や遺伝子などを探し当てる手法が主流で、米アマゾン・ドット・コムが出資する米グレイルなどが実用化に向けて開発を急いでいる。再発がんの検査については、米ガーダントヘルスが強みを持つ。

一方、ここ数年は日本勢が一気に追いつき、先行する構えだ。イカリアや東芝、東レなどの検査はいずれもマイクロRNAを活用する。がんの検査物質として使うと、検査精度が大幅に向上することが分かったためだ。この物質の研究では産学官連携などで日本勢が世界をリードしており、検査市場での日本勢の成長を後押ししそうだ。

ただし体液検査には課題もある。誤判定や、がんを見逃すリスクがなお残る。画像診断では見つからないほど早期のがんを発見した場合、これまで以上に多くの検査が必要になる恐れもある。

各社は当面、保険のきかない自由診療として検査サービスを提供する考え。保険がきく医療とどう組み合わせて活用するかは大きな課題だ。精度の向上に加え、早期発見が治療成績の向上や医療費の削減につながったのかというエビデンス(証拠)を蓄積することが欠かせない。(大下淳一)

引用ここまで 日経新聞2020年1月11日尿・血液でがん発見を実用化 ヒロツバイオや東芝など

 

がん保険は今後どうなる?

関係者の推測では、がんと診断されたら数百万支払われるというがん保険は、今後は、加入審査時の健康状態の告知項目が改正され、上記のようながん検診でがんの可能性があると判定が出た場合は加入を断られるようになる・・・このがん検診の普及がさらに進みますと、がん保険自体が販売停止になるかもしれないとささやかれています。

ご存じない方も多いかもしれませんが、がん保険は日本、台湾、アジアの数える国しか販売されておらず、アメリカやヨーロッパでは販売されていないそうです。理由はがん検診の普及率が高いため、がん保険が成り立たないからです。

たとえば、女性の乳がん検診の普及率は、欧米の60~80%に対し日本は40%程度。マンモグラフィーなど痛みを伴う検査のため、ついつい足が遠いてしまいます。1万円の費用がさらに安価になり、自治体の補助や会社健康診断項目取り入れられると、普及率は急速に伸び、がんになったら何百万という保険は予想より早い段階で、姿を消すかもしれません。あるいは早期がんに対しては、保険金が支払われないなど、商品改定は避けられそうもないでしょう。

 

人生100年時代とがんという病気

人生100年時代において、一番大事なこと、心配なことは、「老後の生活費」ではなく「健康」です。がんなどの病気になってしまうと、発見されるステージの差はありますが、多大なお金がかかるといわれています。芸能人である堀ちえみさんは舌癌のステージが進み、緩和ケアで痛みをとりながら死をむかえる選択を一時はされたということですが、娘さんに、「ママは若いからあきらめないでほしい」といわれ、舌を摘出し太ももの筋肉を口に埋め込み(形成術)壮絶な痛みを乗り越え、1年後に徹子の部屋に出演された堀ちえみさん奇跡の回復ぶりに多くの方が驚かれたことだと思います。がんは2人に1人かかる時代ですから、めずらしいことではありません。がんになった=不幸や死ではなく正しい情報を取得し、治療を行い、堀ちえみさんのように、がんと共存していく覚悟が必要でしょう。

 

がん保険は加入したほうが良いか?

がんが見つかった・・・そのがんの治療費を手持ち現金で支払うのか?仮にがん保険に加入していればその保険金から支払う事もできます。どのようながん保険があって・・・というのは後述しますが、がんは年齢が高いとり患する確率も高くなります。がん保険に加入したほうが良いかどうかは、その方の状況(加入年齢、経済状態・家族の扶養義務、社会的立場)における費用対効果で判断しましょう。

 

がん保険に加入したほうが良い人は?

私ががん保険に加入したほうが良いと思われる人は、「若い方でそれほどまだ資産も少なく、働き盛りの方」「会社経営者や自営業者でがん治療を開始すると売り上げにダメージがある方」「20代後半~50代の主婦でがん治療費の蓄えが乏しい方」など、がんの治療が長引くと生活収入にも多大な影響のある方は、加入したほうがよいでしょう。

 

がん保険に加入しなくてよい人は?

逆に必要ないと思われる方は」「年金生活で日々の生活に余裕のない方」、「80代以上の高齢者である程度介護・医療費を確保されている方」「がん治療に500万円程度支払う余裕のある方(年齢関係なく)」です。最近がん保険は終身が定番。長生きする前提で終身払いで保険料を支払い続けると、預金の減少につながります。生活に精一杯であれば、優先順位からいいますと、保険は後回しです。あるいは、お金があれば保険は不要ですから、500万円ぐらいがん治療に充てられる医療資金が確保されているなら不要でかもしれません。

 

これからがん保険に加入するとしたら・・・

がん治療もがん検査と同様に、進化しています。20年前のがん保険は、入院したら一日1万円支払われるなど、「入院」が主流。今は「入院」より「通院」、「手術」「抗がん剤」「放射線」などの治療に対して支払われるがん保険が主流です。がんの標準治療は今後大きく変わるか?について私は専門家でないため、わかりませんが、新しいがん検査の普及によっては、がんと診断されたら何百万円というがん保険(診断給付金タイプ)はいつかは姿を消すかもしれません。いろいろな治療をして各々支払われるがん保険(細分化タイプ)よりも、診断給付金タイプのほうが、給付もれがないので、ご自身にとって、がん保険は必要か、不要かを見極め、診断給付金タイプに加入するなら、今のうちかもしれません。あるいは、がんだけに絞るのではなく、三大疾病保険(がん・心筋梗塞・脳卒中)や働けなくなったら支払われる休業補償保険(損害保険)などもありますので、がんになったら、何に困るのか?それについて、保険にどこまでカバーするのか?検討すべきです。

 

まとめ

がん検診の進化により、がん保険の保障内容や在り方もかわると予想されます。だからといって、駆け込みでがん保険に加入するというのではなく、ご自身にとってがん保険が必要か?必要ならばどの範囲まで用意するのか?費用対効果は?保険会社の給付の速さは?セカンドオピニオンやがん専門医の紹介は?確認しなければいけない項目は多々あります。生命保険.COMでは、保険の相談を随時受け付けております。

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